April 09, 2008

カーク・フランクリン『The Fight Of My Life』

Gospel Soup (63) カーク・フランクリン『The Fight Of My Life』(その1)
 

 もう発売から何ヶ月経ったのだろう。カーク・フランクリンのアルバム『The Fight Of My Life』。自分の人生との闘い〜だが、「己との闘い」というほうがぴったりするかもしれない。カーク・フランクリン自身の闘いのみではなく、どこにでもいる街の若者たちの、自分との闘いと救済を描いたようなアルバムだ。カーク・フランクリン08/02
 
 
 サウンド云々はともかく、アルバム全体を通してにじみ出してくるのは、彼の「謙虚さ」。そして単なる自分とジーザスの関係だけでなく、歌詞の中に、自分以外のたくさんの人間の心象風景を、短編映画みたいに描き出しているのが、とても新鮮だった。あと、すごく感心したのが、常に「自分の役割」を考える俯瞰的な目を持っているということ。

 今回のアルバムはキラリと光るような歌詞が、あちこちにあって、詩人としてのカーク節も全開だ。

 たとえば、♪Hide Meという歌の中から
 The only way my faith can grow is when You let Your winds blow
  (私の信仰心を大きくさせるのは、神様が風を吹かせた時だけ)
 You are making me stronger now so
  (神様は、私をより強くしてくださる。だからもう)
 Rain, don't go away
  (雨よ、降りやまなくてもいい)
  
 (中略)
 The road includes some pain
 and grow you need some rain
  (人生の道には苦しみもあるし、成長するには雨も必要)
 and when it falls I wanna be where You are
  (でも雨のふる時には、私はあなたの元にいたい)

カークの歌詞は詩心があって 
 roadとgrow 、some pain とsome rain
 みたいに、ちゃんとライム(韻)を踏んでいるものも多いから、詩だけ取り出してもきれい。
 
 今回のアルバムの歌には、人生の苦悩の過程で、神様の愛を手にしたというものもあれば、内省的なものや、何かにもどかしがって叫びたいのに叫べないような逡巡を描いたものもある。神様に身を委ねたはずのクリスチャンが、なぜ
己と闘わなくてはいけないのか
と、思う人もいるかもしれないけれど、思い出すのは、芸術家の岡本太郎のことば。
 
  「人生を真に貫こうをすれば、必ず条件に挑まなくてはならない。
   いのちをかけて運命と対決するのだ。
   その時、切実にぶつかるのは己自身だ。
   己が最大の味方であり、敵なのである。」 岡本太郎

 
 こういうことばを引用すると、「人生最大の味方は神様です」と、クリスチャンの人に叱られるに違いないけれど、いや、もちろん神様が自分のそばについていてくださっても、人生には一瞬一瞬と次なることが起こる。いろんな環境もある。そんな中で、神様に頂いた自分の命を、より輝かせようとする時に、実は敵となるのは、自分の周りの外的要因より、自分自身の甘さであったり、怠惰であったりするのは、もう身に覚えがありすぎて困る。
 
 カークは本当に、自分にも嘘をつけないし、人生に真摯なんだと思う。
 
 ボクシングのコスプレみたいなジャケット写真だけは、何とかして〜と、未だに思うけれど。
 
The Fight of My Life


graceshinkai at 18:08│Comments(5)TrackBack(0)カーク・フランクリン(Kirk Franklin)の話 | ゴスペルCD/DVD

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この記事へのコメント

1. Posted by フィトンチッド   April 10, 2008 09:57
ゴスペルサークルを離れてから、少しずつゴスペルを聴くことからも離れていますが、カークは
大好きなアーティストなので、久しぶりにアルバムを買って、聴こうと思います♪
2. Posted by shinkai   April 10, 2008 10:16
☆フィトンチッド様

わざわざ外部ブログまで、コメントご記入いただき、ありがとうございます。

曲がいいとか歌いやすいとかノリやすいのは、きっと昔のカークのアルバムのほうなんだと思いますけど、今回は詩に共感することが多かったので、書きました。あと全然関係ないけど、このカークの写真も好きで載せちゃいました。

ではまた。日記にも遊びにうかがいます。
3. Posted by cloudybody   October 10, 2008 18:21
こんばんは。いつも楽しく拝見しています。

ゴスペル教室でカークの曲と出会ってから、すっかり、とりこになってしまいました。
中でもWHY WE SINGが大好きです。単純なメロディーですが、繰り返すことで気持ちが高揚してきます。ぜひ今度、歌詞・対訳をやってほしいです。


For songhood understand I purpose

And made understand I prase

とは、どんな意味なのですか?

And nothings even wrong

とは、どんな風に解釈すれば良いのでしょうか?

ネットでも、いろいろな対訳がアップされていますが、どれも納得がいきません。
どうか、よろしくお願いします。 
4. Posted by shinkai   October 14, 2008 15:17
☆cloudybody様
こんにちは初めまして!!コメントをありがとうございます(連休中で、お返事が遅くなったこと、申し訳ございません)。

♪Why we sing、私も大好きです。
>For songhood understand I purpose
>And made understand I prase

それでお話のあった、この歌詞↑は、Why we singのものなのでしょうか?ちょっとどこの部分かわからずにいて、申し訳ありません。あと

Someone may be wondering
When we sing our song
At times we may be crying *at times 時々、時たま、時には
And nothing's even wrong については私もいい訳ができずにいます↓が、こんな感じでしょうか。

ある人は迷っているかもしれない
私たちが歌を歌うとき
時に、私たちは、泣いているかもしれない
(迷うことも、泣くことも)そしてそれは何一つ間違ってなんかないさ

ご指摘の通り、And nothing's even wrongの訳は難しいですねえ。迷うことも泣くことも、間違ってなんかないさ!という肯定的な意味なのか、なにひとつ間違ってすらいないはずなのに、うまくいかずに泣いてるかもしれない、、なのか。
ちゃんと、わかれば、また歌詞訳アップしたいと思います。
色々ありがとうございました。
5. Posted by cloudybody   October 16, 2008 18:15
こんばんは。歌詞訳ありがとうございました。
ああ、なんてすてきな詩なんでしょうか。

何ひとつ間違ってなんかないさ

心に響きました。

His eye is on the sparrow

とるにたりない一羽のすずめでも、価値あるものだと神は見ていますとイエス様はおっしゃしました。

聖書の中のことばだとか。本当にそうだったら良いですね。嫌な時、辛い時に聞くと気持ちが休まります。

for songhood〜の所は、イントロでカークが語りかけている言葉なのですけど、また時間があればよろしくお願いします。

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