March 07, 2009

♪This Little Light Of Mineの謎  黒人霊歌なのか違うのか?また2つの異なるメロディの系統はどこからきたか?

Gospel Soup (84) ♪This Little Light Of Mineの謎 

 ゴスペルの定番♪This little light of mine。アレンジも自由自在で、実に幅広く、聴くのも楽しい!歌うのも楽しい!あまりに有名な曲。iTunes storeなら150種類(シンガー)もの、この曲が売られている。「私のこの小さな灯を、光かがやかせよう」という歌詞も、とても心に響く大好きな歌。しかしこの歌のルーツはよく分かっていないことが多いのだ。

 今回の疑問は

 黒人霊歌なのか違うのか?
 また2つの異なるメロディの系統はどこからきたか?

 
 まずは、ごく一般的なアレンジはこちら↓。

 
 
 そしてよく我々が耳にするこの↑♪This little light of mine(♪ドッドッ・ドレッ・ファー・ラッララ・ラソッファ〜)の他に、もう一つの別な、まるで別曲のゆったりしたメロディーの♪This little 〜がある。


 
 一般にこの歌は日本では「黒人霊歌」と言われており、「19世紀に定着した」と書かれてある本もあれば、『深い河のかなたへ〜黒人霊歌とその背景』〜小川洋司著の中では、後者のゆったりしたほうの楽譜が掲載され、「ジョン・ワークの叙情味あふれた編曲が、合唱や独唱で親しまれている。」と書かれている。
 
 う〜ん?ちょっと待って。こっちのゆったりした方のメロディーは、クラシカルだなあ。CDだとたいていソロで歌われている。黒人霊歌にも、もちろん流れるようなメロディの歌はたくさんあるけど、リードシンガーのあとに、コーラスが続くという構成の、普通のあの普通の元気な♪ジスリトルのほうが、黒人っぽいんじゃないのだろうか・・・と当初、私は思ったのだ。

 それにジョン・ワーク?黒人霊歌のその後に多大な貢献をしたビッグネーム、「ジョン・ワーク」は3世代・3人いる。誰の編曲なのだろうか?おじいちゃんのJohn Wesley Work、その息子のJohn Wesley Work, Jr.(1871〜1925)と、そして孫のJohn Wesley Work III (1901-1967) 
 
 (おじいちゃんは、教会のクワイヤーディレクター。そのクワイヤメンバーの一部は、のちに黒人霊歌を世界に知らしめることとなったジュビリー・シンガーズのオリジナル・メンバーとなった。息子Jr.(1871〜1925)は、黒人霊歌の採譜・保存・普及をさせた最初の人物と言われる大人物で♪Go tell it on the mountainsの採譜でも知られる。孫のIIIもジュビリー大学の音楽学部の教授であった。)
 
 この小川氏の著作の出典は、どこなのだろうか?♪This littleのルーツはどこにあるのだろうか?何だかちょっと、わからない・・・!?というのが、当初の疑問だった。

 ただアメリカの黒人霊歌(Negro Spiritual)のCDの中にも、♪This little light of mineは当然のように所収されているし、1960年代の公民権運動の時に歌われた歌として、よく取り上げられる曲だ。だからこの歌は黒人霊歌だと、私は何の疑いもなく思っていた。
  
 そこで調べはじめたら・・・!?
 
 あれ?

 wikipediaによるとこの歌は19世紀の黒人霊歌と誤解され、多くのジュビリーソングやプランテーション・ソング集に所収されているが、実はそうではなく、これはHarry Dixon Loes (1895-1965) によって、1920年ごろに書かれた、子どもむけゴスペルソングである。もはやフォークのトラディショナルソングとなっているが、1939年に John Lomaxによって収められたのが最初である。・・・とのこと。
 
 wikipediaは必ずしも正しくはない場合は往々にあるのだが、何〜?どちらが正しいの?

 黒人霊歌ではなかったのか?

 白人作曲家によるキッズゴスペル!?

 たしかにこの歌は、アメリカの子どもはよく歌う。娘も現地の幼稚園でこの歌を、振り付けつきで習ってきた。 映画「コリーナ・コリーナ」の中でも歌われている。http://www.youtube.com/watch?v=DtVzn48G5hQ&feature=related
 
 このHarry Dixon Loes (写真)なる人物。初耳なのでネットで検索してみると、This little の作者として、たしかに名前が散見される。シカゴの作曲家であり、教師でありいくつかのゴスペルソングを作ったらしい。Harry Dixon Loes

 

彼の略歴を見ると、良い写真も残っていないようだし、「埋葬場所がどこかという情報まで募集中」である。歴史に埋もれてしまった人物なのであろうか。Harry Dixon Loesがこの歌を作ったのなら、自分の作った歌が、後世、世界中の人々に歌われ光を与えていることを喜びつつも、黒人霊歌とみなされることに、天国で憤慨したりはしないのだろうか。


 私は学生時代は考古学をやっていたので、埋もれてしまった歴史や人を見ると、掘り起こしたくなってしまう。光をあてたくなってしまう。ネットによる資料の孫引きの孫引きいうのも好きではないから、とりあえず、この歌のルーツ、どちらが正しいかという結論は、今は保留にしておこう。ファースト・ハンドの資料が出てくるまでの私の宿題だ。
 
 そして、♪This littleのメロディーが2系統あること。これも宿題だが、ゆったりした方のメロディーは、たぶんMargaret AllisonBondsという黒人女性(1913-1972)の作曲家/ピアニストが、1970年に編曲してソプラノ歌手のLeontyne Price(レオンタイン・プライス)が歌ったりしたのが広まったのかもしれない。

 いずれにせよ、この歌の「歌詞」のルーツは、
 新約聖書マタイ5:16「あなたがたの光を人々の前に輝かしなさい」
  Let your light shine before men


 最後は、これ↓。子どもたちの♪This little 〜。いいなあ!ほんとかわいくてはち切れそうに輝いている

<The African Children's Choir>



graceshinkai at 18:13│Comments(18)TrackBack(0)ゴスペル歌の元ネタ大発掘!! | ゴスペル雑記帳

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この記事へのコメント

1. Posted by ロン@ゴスペル   March 07, 2009 20:09
5 いつも楽しみにしています(^^)

子供の歌可愛いですねぇ
黄色いコスチュームがLightみたいで、ぴったりです。

この曲もいろんな経緯があるようですねぇ。
歴史を紐解くって奥が深いと思います。

さて、私の手許にあります「African American Heritage Hymnal: 575 Hymns, Spirituals, and Gospel Songs」
http://www.amazon.co.jp/African-American-Heritage-Hymnal-Spirituals/dp/1579991246
にもこの曲が収録されていますね。
これによると
TEXT:Negro Spiritual
TUNE:Light of Mine12 12 12 9;Negro Spiritual
とありますね。数字は凡例が見当たらないので今のところミステリーです(^^;

2. Posted by ロン@ゴスペル   March 07, 2009 20:41
連続投稿ですけど許してやってください。

ブルース・スプリングスティーンとバンド等総出でThis little light of mineを歌っているのを見つけました。
This Little Light Of Mine (Live In Dublin)
http://www.youtube.com/watch?v=rTebgVrHEVM

こちらもなかなか結構な印象でしたよ(^0^)
3. Posted by べちゃん   March 07, 2009 21:52
しんかいさんは考古学の人なんですね。
なるほど、埋もれてる資料の中から
真実や事実を掘り出していく作業、まさに歴史の掘り起こしですね。

3つの歌、それぞれに味わいがちがいますね。
ひとつめは、生きるパワーとか連携の力を感じるし(それで輝くのだという連想?)二つめは、まさに、小さな光を大切に守り輝かす個人の強い心を感じます。
3つめはとにかく、子どもの果てしない希望、かな?

みんなちがってみんないい、を聞かせてもらいました。

はりーさん、草葉の陰で思ってるんじゃない?
みんなまちがってるぞ〜、でもいいや、みんなが歌ってくれればさ。真実は僕が知ってるんだからね〜。って。
4. Posted by shinkai   March 07, 2009 23:10
☆ロン様

色々調べてくださり、教えてくださりありがとうございます。ご紹介下さった本、買おう買おうと思いつつ、まだ買ってない(笑)本で、これはこの機会に買わなくちゃです。ブルース・スプリングスティーンの映像も、とってもゴキゲンで、気に入りました♪♪

黒人霊歌なら、「よくわからない」のは当たり前なんでしょうけど、結局資料として古そうな、John Wesley Workの
「American Negro Songs: 230 Folk Songs and Spirituals, Religious and Secular」を注文しました。
http://www.amazon.co.jp/American-Negro-Songs-Spirituals-Religious/dp/0486402711/ref=pd_sim_fb_4_img

これに掲載されていれば、黒人霊歌なんだろうということで♪
5. Posted by shinkai   March 07, 2009 23:17
☆べちゃん様

みんなちがってみんないい〜「みつを」なコメント!ありがとうございました

最初の元気なコーラスバージョンの、♪This littleも、本当にアレンジがどうにでもなる歌で、ちょうど昨日、木原先生のレッスンでも歌ったんですが、木原先生のブルース風・せつなげ・カッコイイ♪This littleは、毎度絶品なのでした。

>はりーさん、草葉の陰で思ってるんじゃない?
みんなまちがってるぞ〜、でもいいや、みんなが歌ってくれればさ。真実は僕が知ってるんだからね〜。

ええ!あと、僕の写真、もっとハンサムなやつあるんだけどな〜、そっちにして欲しいなあとか、絶対思っているんじゃないかと(笑)思います。


6. Posted by りえ   March 08, 2009 10:11
三つ目のが再生できない
一番聞きたいのになあ。。。

二つ目のは知らなかったなあ。
聖なる感じだね

他にもこんなのあるんかな?
同じ歌詞で全く違うメロディでどっちも有名っての。

しんかいさんの探究心にはいつも脱帽です。
いつも面白いトリビアをありがとう
7. Posted by ちかちゃん   March 08, 2009 10:36
ほよよ。
さすが考古学者な記事ですわぁ。

&、アタシのことも、お褒めに預かりありがとう。

知らなかったです、クラシカルなメロディのは。

大大大好きだったB・スプリングスティーン、お年を召してシブくなられて・・・・楽しませてもらいました。
「Everyday,Everyday・・」と歌い「On Monday〜」と曜日が続くこのヴァージョンは、クララ・ウォードのやってたアレンジだけど、このアレンジの出典はホンマにクララ・ウォードなんやろうか・・・???
ほぅらまた調べたくなってきたやろ(笑)

8. Posted by shiknai   March 08, 2009 18:08
☆りえ様

ありゃりゃ。3つ目の再生できない?なんでかなー!?
すみません。あとで、もう一回、ダウンロードして画面作り直してみますね。

ちなみにAfrican Children's ChoirのyoutubeURLは、
こちら↓です
http://www.youtube.com/watch?v=Bv6nuDeB-eM&eurl=

9. Posted by shinkai   March 08, 2009 18:14
ちかちゃん様

>大大大好きだったB・スプリングスティーン、お年を召してシブくなられて・・・・楽しませてもらいました。

ええこの前のオバマの就任式の時に彼が、♪Risingという曲を、バックにクワイヤで歌っていたのも、渋くてカッコよかった〜です。

>「Everyday,Everyday・・」と歌い「On Monday〜」と曜日が続くこのヴァージョンは、クララ・ウォードのやってたアレンジだけど、このアレンジの出典はホンマにクララ・ウォードなんやろうか・・・???
ほぅらまた調べたくなってきたやろ(笑)

うううう。調べたいっ調べたいっ!たぶん「調べたい欲」というのは、私の欲求の中の、食欲・睡眠欲の次あたりに、位置するものと思われます。

あと、クラシカルなアレンジのジスリトルは、以前お渡ししたジスリトル特集CDの14番目(最後)に、Moses Hogan Singersが歌ったのが入っています。良かったら聴いてみてください
10. Posted by tomocci   March 09, 2009 10:51
論文を読んだ気持ちです。。。
久々にThis littleを歌いたくなってきました〜。最初、某お教室で習ったのですが、退屈で嫌いになりかけていた時に、映画コリーナコリーナを観て好きになったんです^^
んで、Shinkaiさんの日記を読んでますます好きになりました(*^_^*)うちのクワイヤでも歌えるように提案してみます。。。
11. Posted by ルミコ   March 09, 2009 12:58

よく耳にするおなじみのゴスペルですが、歌い手やアレンジでずいぶん曲の様相がかわりますよね。

聴き手のルーツや状況。思いによって求めるスタイルも表現するスタイルも全く違ってくるところが非常に興味深〜いところでもあり、ゴスペルのみにかかわらず音楽の幅広さや多様性の凄味ですよね

う〜ん、ちょっと迷ってしまいますが私的にはやっぱりAfrican Children's Choirかな

ゴスペルの作者のルーツや背景を知ると、「深〜い!」って思うものたくさんあります。
面白い情報、ありがとうございました。
12. Posted by りえ   March 10, 2009 02:22
みれました
ふふふふふ、可愛くてたのしいね。
ありがと
13. Posted by shinkai   March 10, 2009 06:26
☆tomocci様

ご無沙汰しております。書き込みありがとうございます。コリーナ・コリーナの中に流れる、♪This litle、とってもかわいくて、映画の中でも効果的に使われていますよね〜。

曲としてのアレンジもさることながら、リードシンガーのアドリブや、声質によっても、ぜんぜん違う雰囲気になって、めっちゃ(あら関西弁)楽しい♪です。
14. Posted by shinkai   March 10, 2009 06:34
☆ルミコ様

>う〜ん、ちょっと迷ってしまいますが私的にはやっぱりAfrican Children's Choirかな

ルミコさんなら、そうでしょう!そうでしょう!
ジスリトルでyoutubeを検索したあと、African Children's Choirの歌っている他の曲を見ていたら、もうこれがどれもとっても素敵で気に入りました。

昨年来日したウガンダのWatotoチルドレンズクワイヤも、きっとルミコさんのお好みではないかと思いま〜すが、いかがでしょうか。

http://www.watoto.jp/choir/index.html
15. Posted by 嬉歌喜喜久美   November 26, 2010 14:32
5 はじめまして。おじゃまします(_ _) 嬉歌喜と云います。

おっもしろいなあ!・・・と7回くらい呟きながら、読ませて頂きました。

黒人霊歌・代表曲として、某音楽教室のテキスト,遼粗を飾っていたりするこの曲に、そんな意外な謂れがあるなんて!と、興味津々でした。

さて。私はゴスペルを少々かじってはいるのですが、英語力も大ッ変ッ怪しいですし、
理性ではなく,感性の生き物・・・いや、むしろケモノかも?といった性分なため、ゴスペル教養も乏しいのですが、
その状況を少しでも打破すべく勉強し始めた,という、いわばヒヨっ子(←でも可愛くはない)ゴスペル愛好者です。

そういう私みたいな人にとっても、こちらのブログは、非常に非常にありがたい存在です。一言で喩えると、ありがたい「灯り」です。ゴスペルの魅力について、照らし出してくださって、本当にありがとうございます。

これからも、ちょくちょく、拝読させて頂きたいと思います。(というか、コメントこそ今回が初めてですが、ここ10日位前から、ほぼ日参状態なんですが^^;)よろしくお願いします。

大事な用事を書き忘れておりました!当方のブログから、こちらのブログのトップページhttp://graceshinkai.livedoor.biz/へ、リンクを貼っても構わないでしょうか?もし御承諾いただけましたら、私の仲間にも是非紹介させて頂きたいと思いまして。

それでは、失礼致しました(_ _)
16. Posted by shinkai   November 26, 2010 15:39
☆嬉歌喜様

初めましてブログを読んでくださり、またうれしいコメントまで残してくださり、ありがとうございます。
はい〜。この歌の由来も面白いです〜。

嬉歌喜様のブログも拝見いたしました。私の大好きな岡本太郎の言葉の紹介があり、何か近しいものを感じてしまいました。

当ブログを、嬉歌喜様のブログにもリンクを貼ってくださるとのこと、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
17. Posted by 嬉歌喜喜久美   November 26, 2010 17:06
5 さっそくのお返事、そして、ご承諾いただきまして、ありがとうございます(_ _) 嬉しいです♪
当方ブログの、ゴスペル・トップページhttp://ameblo.jp/kikumisaha/entry-10710031677.htmlの方に、以下の内容でリンクを貼らせて頂きました。もしも御都合悪い点などありましたら、お手数ですが、お知らせくださいませ(_ _)

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【素敵なゴスペル・サイト♪】
【Gospel Soup 〜小耳にゴスペル〜ゴスペルブログ〜】 http://graceshinkai.livedoor.biz/
ゴスペルに興味のある方,必見の,素敵なブログ♪無料で読んでも良いんでしょうか?という程の充実振り、読み物としても面白く練られた内容で、それのみならずっ!高く厚い英語の壁を突破させてくださる点も、超ステキです≧(´▽`)≦♪
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当方のブログも御覧くださり、ありがとうございます。嬉しいで♪・・・一方では、内容の90%以上が、お調子者全開なフザケっぷりなので、恐縮ですが(ーー;)

岡本太郎、素晴らしいですよね^^シンカイさんのような知的な方に「近しいものが」なんて言っていただいて、光栄です^^

ではでは、また、寄らせて頂きます^^
18. Posted by 嬉歌喜喜久美   November 26, 2010 17:09
「嬉しいです」が、「嬉しいで」に。関西人でもないクセに関西弁で、あろうことか、タメぐちなんて、ありえません(顔面蒼白(笑))失礼しました(ーー;)

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