October 06, 2009

Listen To The Rain 〜黒人霊歌♪Dindn't It Rain ?より〜

Gospel Soup (91)Listen To The Rain  〜黒人霊歌♪Dindn't It Rain ?より〜

 今日は雨。

 山田詠美の処女小説の「ベッドタイムアイズ」で、黒人のボーイフレンドが、主人公の女性を落ち着かせようと「静かに、ベイビー。雨の音を聴きなよ(リスントゥザレイン)」とベッドで言って、彼女をなだめるシーンがある。

 若い頃にこの本を読んで、私は「う〜ん。何てかっこいいセリフだ」とうっとりし、来るべき将来、男性からこういうセリフを言われるシチュエーション、もしくは言うシチュエーションに備えて、"Listen to the rain"ということばを、胸に深〜く刻み込んだものである
 
 しかし、実際のところ、そのようなセリフを言う(言われる)シチュエーションなど、まるでないままに、人生が過ぎて20年。そんなセリフも忘れかけていた頃、昨年のゲイリー・ハインズ氏のワークショップでの黒人霊歌に、偶然同じ歌詞があった。(ちなみに、今年2009年のゲイリー氏のワークショップは、もうすぐ大阪10/10(土)・名古屋11(日)・東京(日)です。インフォメーションはこちら
 
 Listen to the rain.

 歌の題名は♪(Oh my Lord) Did n't It Rain?

 ノアの箱船を題材にした有名な黒人霊歌だ。黒人霊歌のご多分にもれず、歌詞には色々なバージョンがあるようだが、ゲイリー氏の用意してくださった歌詞の一部に、 Listen to the rainというフレーズがあった。

 いや、冒頭のベッドタイムアイズとは、そういえば何の関係もないのだけれど。

 タイトルのDid n't It Rain?は、直訳すると「雨は降らなかったのかい?」「降ったんじゃないのかい?」となるが、どちらかと言えば反語的に、「いやあ、実によく降ったもんさ。ひどい雨だったなあ」というニュアンス。大人や老人が、子どもたちに、ノアの方舟のストーリーを、歌語りしているような歌詞だ。


♪Did n't It Rain?  

Now didn't it rain children?
(さてと、よくあれほどもまあ、雨が降ったと思わないかい。子ども達や)
It rained. Oh my lord (それにしてもたくさん降らせなさったもんだ。神様は!)
Didn't it? Oh Oh Oh my lord! Didn't it rain?
(降りましたねえ、神様!本当によくあそこまで降ったもんだ。)
Listen to the rain. a-Didn't it rain?(雨音を聞いてごらんよ。雨が降ったのがわかるだろ?)
Drip Drop, Drip-a-drop(ぽたぽた。ぽつりぽつり)
Well it rained 40days and 40nights without stoppin'
(そうさな、雨は40日間、昼も夜も、やまずに降り続いたのさ)
Wasn't no land 'til the water stopped droppin'(雨が降りやむまでは、乾いた土地なんかありゃしない)
Noah put on his travelin' shoes(ノアは旅支度の靴をはき)
Stepped out the ark to spread the news(この知らせを広めに、箱船から足を踏み出したのさ)                   
                          訳:Shinkai
----
 地上に悪が満ち、堕落した人間を滅ぼすために、神は善人のノアに、箱船(方舟)を作るように命じる。その箱船の中に、ノアの家族と、生き物のつがいが入ったあと、雨は40日間降り続いた。あたりは洪水となり、150日経ってようやく水は引きはじめた。ノアは、放った鳩がオリーブの葉をくわえて帰ってきたことで、水が地上から引いたことを知る。(創世記6〜8)
 
 歌詞の中に、travelin' shoesとあるが、聖書の中にはノアは靴をはくシーンは出てこない。しかし黒人霊歌では、shoes(靴)は、奴隷にとって自由を暗示する頻出単語であり、多くの歌詞の中に散見される。
 
 <マヘリア・ジャクソンが歌う♪Didn't ir rain?> 歌詞は違うバージョン



 子どもむけの「ノアのはこぶね」の絵本は、箱船からぞろぞろ動物が出て行くところで、ストーリーは終わるが、この善人のノアは、洪水のあと農夫となってぶどう畑を作ったものの、ある時ぶどう酒を飲んで酔っぱらい裸になり、それを見て、ノアの子どもたちがびっくりして、目をそらして着物をかけてやるという醜態をさらす。私はノアのこの後日ストーリーを知ったのは、大人になってから。ノアのイメージが、がらがらと崩れていった瞬間である。
  
 雨音は、気分や状況によって、叙情的にもロマンチックにも、恐怖にも変わって聞こえる。どうか台風の被害がでませんように。


<付記>
(1)今年はゲイリーさんのワークショップは予定があり伺えず、残念!6年間続いたこのワークショップも、とりあえず今年でいったん「締め」とのことです。
行けるかたは、本当にぜひぜひ!!

(2)小さい頃、息子はノアの箱船から、シマウマとフラミンゴとが一緒に出てくる挿し絵をみて、箱船の中で、ライオンやチータは、シマウマやフラミンゴを食べなかったのか?としきりに心配していた。いやいや、かわいかったもんだ。


graceshinkai at 15:33│Comments(10)TrackBack(0)ゴスペル歌の元ネタ大発掘!! | 歌詞・訳

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この記事へのコメント

1. Posted by りえ   October 06, 2009 17:59
山田詠美の小説に出てくる黒人男性の甘い言葉に私もいつも憧れて酔いしれてました。
あれをささやける日本人男性はいないかなあ・・・
高田純次ぐらいかな?

黒人霊歌の解釈は自力ではできないので
真貝解説はいつも勉強になります。

そう、解釈なんだよね、理解はきっとできないんだろうと思う。
でも知ることは大事だと思うので
これからもどんどん教えてくだされ。

いつもありがとう。

ちなみに、真貝ジュニアのノアの箱舟解釈に、いまさらながらに「ほんまや!!!」と思う私でありました・・・
2. Posted by shinkai   October 06, 2009 18:22
☆りえ様

>あれをささやける日本人男性はいないかなあ・・・
>高田純次ぐらいかな?

あはは。高田順次は、心を何もこめずに、しゃらくさいセリフも甘いことばも、なんでも言えるって?


>そう、解釈なんだよね、理解はきっとできないんだろうと思う。


はい。私もこの世界は、バイブルストーリーも、黒人霊歌も、生まれながらに聴いて育って肌身にしみ込んでいるとかいうことではないので、あくまで「学習?」によって、そーやったかと、とりあえず頭で整理している状態。

>真貝ジュニアのノアの箱舟解釈に、いまさらながらに「ほんまや!!!」

ウチの息子は、ぐりとぐらを読んでも、ライオンやワニと、りすさんが一緒にいるのが、心配な子どもだったんだわ。

上の娘は、ぐりとぐらのケーキに、よだれをたらして毎回食べたそうにしてたのにねえ。
3. Posted by べちゃん   October 06, 2009 21:36
つがいじゃないといれてくれないってところで、
ジョークを読んだことがあるけど、
書きたいけど、忘れちゃった。

なだめるのに、
「雨の音をきいてごらんよ」という状況ですが、
憧れたのね?
でも、その場面はついぞ訪れなかったのね?
ふふふ。
日本のオトコの人にそれを望むのは無理よねぇ。

箱船の中で、食物連鎖が起きなかったのはなぜか?かぁ。おもしろいなぁ。
なにかきっとからくりがあるだろうねぇ。
わかったら教えてくださいね。
4. Posted by shikai   October 07, 2009 06:37
☆べちゃん様

つがいじゃないと入れてくれないっていうところのジョーク、どんなんだったんでしょうね。きっと欧米圏なら、ノアの箱船に関するジョークとかたくさんありあそうですね。

>ふふふ。
>日本のオトコの人にそれを望むのは無理よねぇ。

あは〜。日本人でも日本人以外でもよろしかったのでございますが、そのような機会はついぞございませんでした。

それにしても、今回の台風は大きそうで、雨音をしっとり聞くという雰囲気でもなさそうですね(笑)

ほなまたです。


5. Posted by べちゃん   October 08, 2009 21:33
ありました。
ジョークでもなんでもなく、
ユダヤの精神、タルムードでした。

動物たちがつがいで集結してるのを知った善が
早速駆けつけたところ、
ノアに、「つがいじゃないとだめ」って言われたもんで、善は、森の中で必死で相手をみつけ、
悪を連れて乗り込んだんだそうです。

それ以来、善と悪は常にセットだという話でした。

タルムード、おもしろいです。
6. Posted by shinkai   October 08, 2009 22:11
☆べちゃん様

再度ありがとうございます。

アメリカかなんかのおふざけジョークかと思っていたら、えええ!?な〜んと本家ユダヤのタルムードに、そんな逸話が載っているのですか!

オチのついたジョークみたいなよくできた話ですけど、大まじめにこの話なんですよねえ。彼らにとってはきっと。

キリスト教なら、善は神で、悪はサタンで、互いに「つがい」にはならないのでしょうけど、現世には、「善」も「悪」もつがいで、コミで存在するっていうのが、ユダヤ的なんでしょか。

いやいや、本当に面白いです。興味深い話をおしえて下さって、ありがとうございます。



7. Posted by Juicy☆@札幌   October 11, 2009 01:17
5 初めてのコメントかも!?です。

(ずっと前から、しんかいサンのblogを拝見してまして、、ある日、某ミクシの足跡を辿ると、、ん!?私がblogを愛読させて頂いてた方=ではないでか〜!?とメッセージ送った者です。

いつも深い内容、楽しみにしております。

♪アブラハム〜は、私の参加しているクワイア コンサートのアンコール曲♪に選曲されてました。
キラキラした派手なライトの中、ディズニー・ランドのショータイムさながら…‥!?楽しいぃ〜〜〜〜く、踊りまくってましたが、、
歌詞の意味を、理解しきれないニッポン人が、賛美するゴスペルソング♪かもしれないけど、、理解、知ろうとする気持ちは、大事にしようと思いながら…‥

あ!!!
ソウェト のコンサート♪まだチケットは手配してないのですが…‥
行きます!!!!
8. Posted by shinkai   October 11, 2009 13:42
☆Juicy☆@札幌様

あらためまして、こんにちは
ブログを読んで下さってありがとうございます。
某mixiでは、Sowetoのコミュでもお世話になっております。

いやいや、ネットというものは便利でもあり、様々なご縁をつなぎつつ、悪いことできませんねえ。

アブラハム、確かにディズニーランドでミッキーと役者さんが、振り付けつきで、パレードで歌っていても不思議じゃないような曲調ですよね。
(このドナルド・ローレンスのアルバムの、アブラハムの次に入っている♪Giantの歌も巨人が倒されるですが、読売ジャイアンツの応援歌みたいに聞こえませんか??♪)

そ・し・て!ソウェト行かれますか!札幌からすごいです!!!!私は川口の公演に行く予定ですが、もしお会いできたらいいですね。





9. Posted by Lala   March 15, 2012 10:02
こんにちは。アブラハムの祝福を検索していてこちらにたどり着き、面白くてあちこち読ませていただいています。神様を讃美するゴスペルって素晴らしいですね。主を喜ぶことはあなた方の力である、と言う言葉が聖書にありますが、まさにその通りなんだなあとshinkaiさんの文やみなさまのコメントをみて思います。ところで、ノアの箱舟の中での食物連鎖ですが、神様が肉食という習慣をお許しになったのは創世記9章以降の、みんなが箱舟を降りてからなのです。それまではライオンもベジタリアン🎶良かったですね。

10. Posted by shinkai   March 16, 2012 06:14
☆Lala様
初めまして。
ブログ、あちこち読んで下さったようでありがとうございます。うれしいです。

>ノアの箱舟の中での食物連鎖ですが、神様が肉食という習慣をお許しになったのは創世記9章以降の、みんなが箱舟を降りてからなのです。それまではライオンもベジタリアン🎶良かったですね。

むむ!そ、そ、そ、そうだったのですか!?
ベジタリアンなライオン。
それなら箱船の中、ぎゅうぎゅうでも、シマウマもパクリとされることもなく大丈夫だったことでしょう。


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