ゴスペルCD/DVD

April 09, 2008

カーク・フランクリン『The Fight Of My Life』

Gospel Soup (63) カーク・フランクリン『The Fight Of My Life』(その1)
 

 もう発売から何ヶ月経ったのだろう。カーク・フランクリンのアルバム『The Fight Of My Life』。自分の人生との闘い〜だが、「己との闘い」というほうがぴったりするかもしれない。カーク・フランクリン自身の闘いのみではなく、どこにでもいる街の若者たちの、自分との闘いと救済を描いたようなアルバムだ。カーク・フランクリン08/02
 
 
 サウンド云々はともかく、アルバム全体を通してにじみ出してくるのは、彼の「謙虚さ」。そして単なる自分とジーザスの関係だけでなく、歌詞の中に、自分以外のたくさんの人間の心象風景を、短編映画みたいに描き出しているのが、とても新鮮だった。あと、すごく感心したのが、常に「自分の役割」を考える俯瞰的な目を持っているということ。続きを読む

graceshinkai at 18:08|PermalinkComments(5)TrackBack(0)

August 02, 2007

ゴスペル&クラッシック

Gospel Soup(52) ゴスペル&クラッシック

 いや、ものすご〜く見ていて落ち着かないDVDだった。『Gospel Goes Classical』。〜Featuring Juanita Bynum & Jonathan Butler
 
 ゴスペル女性歌手というより、「歌う説教師」ジャニタ・バイナム(Juanita Bynum)と、南アフリカ出身の有名ギタリスト・シンガーであるジョナサン・バトラー(Jonathan Butler)が、クラッシックのオーケストラ(メンバーはほとんど白人)と、黒人クワイヤと一緒に、クラシカルなコンサートホールで歌うコンサートライブのDVDである。指揮者は、Dr. Henry Panion(黒人男性)
Juanita bynum
 
 普通なら、オーケストラをバックにゴスペルって、あらなんて素敵な企画♪と思うし、CDを聴いていたら、ジャニタ・バイナムの歌唱力に聴き入ったかもしれない。ところが、DVDで映像を見ると、ヘンすぎるのである。何がって黒人と白人の温度差がありすぎ。続きを読む

graceshinkai at 00:02|PermalinkComments(13)TrackBack(0)

February 22, 2007

大地のゴスペル Soweto Gospel Choir(ソウェト・ゴスペル・クワイヤ)

Gospel Soup(43) 

大地のゴスペル Soweto Gospel Choir(ソウェト・ゴスペル・クワイヤ)

 いや全くこの1週間は、本当に「心がざわざわ」してました。

 悪い意味での「ざわざわ」ではありませんよ。Soweto Gospel Choir(ソウェト・ゴスペル・クワイヤ)のハーモニーが、寝てもさめても勝手に体の中で鳴り響いていたからです。電車の中でも、音が流れてましたからね。なんだ私、これだったらポケットのiPodもヘッドフォンもいらないわと、思ってしまいました。soweto gospel choir
 
 「なんかすごいの聴いちゃったなあ」「どうしよう」「どうしようといってもなあ」「もう一回だけ聴こう」「やることいっぱいあるじゃない」「いや、あと一曲だけ聴くわ」
 って、これは↑私の頭の中での問答ですが、まるでこれじゃ「あと一杯だけ飲ませてくれ」というアル中の発言に近いですね。

 
 彼らのアルバムには、なんだか麻薬でもはいってるんじゃないんですか(笑)。とにかくねえ、なんだか、またすぐに聴きたくなるんですよ。しかも、聴きながら何かをするということができないので、もうべったりスピーカーの前で、耳をそばだてている状態。

 昔(いつですねん?)、レコード店の前に、ビクター社の蓄音機に耳を傾けている犬の置物が、よく置いてあったでしょう。
 まさに、あのビクターの犬みたいな1週間でした。続きを読む

graceshinkai at 09:18|PermalinkComments(14)TrackBack(0)

January 15, 2007

Aaron Neville(アーロン・ネヴィル)のタトゥーの謎

Gospel Soup (37) Aaron Neville(アーロン・ネヴィル)のタトゥーの謎

 ソウルシンガー、Aaron Neville(アーロン・ネヴィル / エアロン・ネヴィル)。1941年ニューオリンズ生まれだから、もう65歳。2000年を過ぎてから、彼は舵をゴスペルへと回帰させ、ゴスペル的バックグラウンドを感じさせる『Devotion』『Believe』、さらにはゴスペルアルバム2枚組Gospel Rootsを出している。(日本版『Gospel Roots』は、近年のアルバムから、名曲を1枚にセレクト編集。)Aaron Neville gospel roots
 
 黒い野生の雄牛を思わせる筋骨隆々の肉体。いかつい顔。右二の腕にはジーザスの顔のタトゥー(入れ墨)。左腕にはハートのタトゥー、しかもそのハートの脇にはMOM(お母さん)と彫ってある。顔の左頬には十字架みたいな剣のタトゥー。大ぶりのピアス。

 こんな彼を、ひそかに私はジーザス・ヤクザと命名していた。

 しかし、その外見を見事に裏切るのは、神に与えられた声である。続きを読む

graceshinkai at 13:31|PermalinkComments(19)TrackBack(0)

August 26, 2006

カーク・フランクリン(Kirk Franklin)のアルバムHERO

Gospel Soup (7) Kirk FranklinのアルバムHERO

 さあ!みなさん!悩ましい選択です。輸入版のオリジナル カーク・フランクリンのアルバムHEROがamazon価格で1700円前後。日本版のアルバムHERO(2006/7/26発売)は2730円。どちらを買いますか?

 でもこれ、値段だけでは単純比較できません。日本版のほうは、日本版ボーナスCD付きの2枚セット!。で、その2枚目にはStompもはいっているし、何といってもあの!ゴスペラーズが、名曲Lean on meをKirkと一緒に歌った1曲も入っているのであります。

 で、私は日本版の方購入。輸入盤より1000円高いけど、その価値はあった。

 まず日本版の解説ブックがとても丁寧な作りになっている。歌詞の日本語対訳はもちろんのこと、今までもっぱら英語のWebで読んでいたKirkの半生も載っているし、ゴスペラーズメンバーのコメントも載っていて、メンバーの一人ひとりが、ホントにKirkのことを敬愛していて、今回のコラボレーションを心から喜んで誇りに思っていることが伝わってきた。まずはどんな感想よりも、こうした企画が実現したことを、一緒に祝福したい。

 実を言うと、最初Kirk+ゴスペラーズ版のLean on meを聞いた時は、ちょっともの足りない気がした。なにせオリジナルのLean on meが、先に耳に刷り込まれているもんで(笑)。オリジナルはU2のボノが入って男性ソロ・女性ソロ+Kirkにクワイヤがついて、もう声が絡み合う〜絡み合う〜絡み合ってねっとり高みに登りつめて、あ〜れ〜髪振り乱してゆれるせつなさ(説明長いな〜)〜みたいな感じ。

 だからどちらかと言えば、Take6的なサウンドのゴスペラーズ版Lean on meを聴いた時は、あっさりした印象だったのだ。でも、これも聴きこんでいくと、1日目:慣れてきた!2日目:また聴いてしまった。3日目すごくいい!4日目:しびれる!と思えて来たから不思議。

 さて本体のKirkのHEROのほう。以前の「俺の音楽で、ゴスペルミュージック界に殴り込みかけちゃる。」みたいな、挑発的な面がなく、角がとれた感じがする。

 1曲だけ紹介。なつかしの85年の「Shout」の曲を下敷きにしたLet it go。
曲だけ流して聞いているとすてきだが、Kirkの独白は、ドキュメンタリー映画のコマ割映像を見るように重い。重く切ない。

 モノクロの映像が見えるような独白。その白黒の映像の中で、身を切って心から赤い血が流れるのをそのままにしたような、Shout(叫び)そのもの。彼は日本流に言うなら「業の深い人間」だ。自分の生い立ち・親に捨てられた悲しみを語り叫びながら、最後に実父も実母も赦すというストーリーのある歌。

 トラウマを背負いつつ、他者を赦すことによって自分の罪も赦されること願い、せめて自分の子どもよ、まともな人間になってくれ、と、業の連鎖を断ち切るように哀願する。深い歌である。
HERO


<カークフランクリンの衝撃告白 2006/8/5ブログに戻る>
http://graceshinkai.livedoor.biz/archives/2006-08.html#20060805


<カーク版のLean on meのビデオ映像 フル映像が無料で見られます!!!>
http://www.youtube.com/watch?v=sgqts0rJRxc&mode=related&search=

graceshinkai at 00:42|PermalinkComments(3)TrackBack(0)