ブルックリン・タバナクルの女性ディレクター:キャロル・シンバラドニー・マクラーキンとブッシュ大統領

November 03, 2006

ブルックリン・タバナクルの女性ディレクター:キャロル・シンバラ(その2)

Gospel Soup (23) ブルックリン・タバナクルの女性ディレクター:キャロル・シンバラ(その2)

 ブルックリン・タバナクル・クワイヤ 総勢275名。うーん壮観ですね。ブルックリンタバナクル
 
 この荘厳なクワイヤの元締め(ヤクザじゃないっつの)のキャロル・シンバラ(Carol Cymbala)さんが、ブルックリン・タバナクル教会に夫と共に赴任したときは、楽譜も読めなかったというびっくり話は前回書きましたが、その彼女の著作です。
 
 ニューヨークのどまん中のおんぼろ教会にやって来たシンバラ夫妻。教会員もわずか、音楽的にド素人の人々を集めてクワイヤを立ち上げて、それが現在では上の写真のような大所帯になり、グラミー賞6回。

でも、この本は、その「サクセス・ストーリー」じゃないんですね。
 
 いや確かにサクセス(成功)はしてるんですが、サクセスという結果に重きを置いた本ではなく、サクセスに至る「困難を乗り越える過程」と「信仰」に重きをおいた「チャレンジ・ストーリー」「宗教本」です。
 
 決して単なる「音楽本」ではありません。キャロル 著作
 
「とこしえに真実なお方―主の御手にゆだねて―」
  -He's Been Faithful- キャロル・シンバラ著、須賀真理子訳
 

 


♪He's Been Faithfulというのは、ブルックリン・タバナクルが歌っているひとつの曲のタイトルにもなっています。がっ、あまりにストレートな本の題名を見て、ギョギョギョと「ひいてしまった」ノンクリスチャンの方(私も含めて)が、たぶん日本に、30人はいるでしょうね〜(笑)。
 
 翻訳者の方を責めるつもりはなくて、確かに訳しにくいHe's Been Faithful。
直訳すると『彼(神)は、今までずう〜っと誠実であった』ということ。
誰に対して誠実であったか? 

 

まずはキャロルさんに対して誠実
彼女の家族に対して誠実
神への救いを求める全ての人に対して神は誠実。。。で、願いをかなえて下さったというあたりなんですが。
 
 いやいや、もうそれはそれは、読んでびっくり。信じられないくらい数えきれないほどの大小の困難の連続です。
 
 経済的に苦しい新婚時代。ブルックリンに赴任しても、教会員は去っていく。教会の建物はおんぼろで屋根がくずれる・・(およよ)。

 最初は誰でも希望者をクワイヤに入隊させていたら、メンバーがいざこざを起こす。女性教会員がナイフを持ってクワイヤの練習会場に乱入する。(ひえ〜っ)

 説教中の夫に銃を持った男乱入、キャロルさん自身も、逆恨みをした女性に平手で打たれる。(涙)。

 教会運営が軌道に乗っても古い教会は手狭になる。長女はグレる。キャロルさん子宮癌になる・・・。

 集まってくるクワイヤのメンバーの過去も一筋縄ではいきません。


 しかし、もともとは気弱な少女だったという彼女が、絶対不可能・絶対無理・苦手・・・ということにひたすらチャレンジしていくのです。

 すると、まるでオセロのゲームのように、黒いコマが、あっという間に白に変わっていく。まるで鮮やかな手品のようです。もちろんクリスチャンのキャロルさんたちは、これを「神の御わざ」と呼ぶのですが。

 彼女自身やクワイヤのメンバーが、数々の困難をどうやって乗り越えたか、が、具体的にこの本に書かれています。あんまり書くとネタばれなのですが・・・彼女たちの場合、ひたすら「祈る」んですね。

(ああ、ノン・クリスチャンの私がこの文章を書くのは、おこがましいわ〜。)

 ただめくらめっぽうにあがいてチャレンジしているのではなく、彼女の場合、すべてを神にゆだねて、静かに神を信じて祈り、チャレンジする。そうすると素晴らしい結果が得られる・・ということを徐々に悟り、体現していくという物語です。
 
 彼女は小さい頃から音楽には親しんでいて、耳でオルガンは弾いていたらしいのですが、当初楽譜が読めず書けなかったので、頭にうかんだメロディや歌詞を、口伝えでメンバーに指導していました。心から湧き出るメロディー、歌詞を伝えていく。。
 
 クワイヤの成功の秘けつは?と問われて、

 「秘訣などありませんよ。私たちは祈り、練習に励み、聴衆の前で神を賛美するために歌っている。ただそれだけです。」
 
 そのため彼女たちは、本来の目的にはずれるならば、有名人のバックコーラスで歌うことも、政党大会で歌うことも、映画で歌う誘いも断ってきたそうな。
 
 そしてクワイやメンバーに対しても、謙虚を重んじ「グラミー賞など穫ったことなど忘れて歌うように」と指導。

 クワイヤにはいるにも、音楽的な面ばかりでなく、心の状態を知るためにオーディション・面接を行い、また聖歌隊内での、調和を重んじることから、不和や中傷がはびこらないように、陰でメンバーの悪口をいうことも中傷することも強く戒めている。
 
 ううう。心に留めます。
  
 ノン・クリスチャンの私は、この本の一番の核である、神や祈りについて書けないので、今回のブログは「仏作って魂入れず」「木を見て森を見ず」みたいなものということを承知しています。
 
 ただ不信心モノの私が読んでも、本当に力を与えられる素晴らしい本として、お勧めいたします。

 そうそう!6曲入りCDもついてて、2400円なら、お得でっせ!
(いきなり関西人主婦の発想)。

 最後に、前回のブログを読んでくださった東京都のShogoさんが、mixiのご自身の日記の中で、キャロルさんとの出会いについて書いて下さったので、ご本人の許可を得て、掲載させていただきます。Shogoさんはクリスチャンでいらっしゃいます。
 
『キャロル・シンバラさんとの出会い』 
 昨年7月の中野サンプラザの公演で、コンサート終了後、ホールで観客を出迎え挨拶をされていたジム・シンバラ牧師に、

「私はブルックリンであなたの教会へ行った時にこのクワイヤを生で聴いて、あぁ神様は本当にいらっしゃるんだと実感して、その後日本に帰って教会へ通い始め、つい3日前に主を受け入れたのですよ!そしたら、教会員からこのコンサートがあることを教えていただいて、、、。神様に感謝しています!」

と言ったら、"Praise the Lord!" と言って私のことをギュッと抱きしめてくださって何度も"God bless you! God bless you!"と耳元で言ってくださいました。

 すると、ちょうどキャロルさんがやってきたので、ジムさんは、「おーキャロル!彼は私たちのクワイヤーを聴いて主を受け入れたそうだよ!すばらしいじゃないか!」と言うと、キャロルさんはコンサートで疲れ果てていらっしゃるのにもかかわらず、(作り笑いではない)満面の笑みを浮かべて「まぁ、主は本当に素晴らしいお方だわ!あなたにこれからも神様からの祝福がたくさんありますように!」と言って、抱きしめてくださいました。

 あれだけ教会員が増えて有名になっても、こんな私一人が主を受け入れたという事実に、夫婦で心から喜んでくださいました。そんな、ご夫妻の謙虚さ、そして神様への愛を、メンバー全員が共有し、増幅しあって、まさにスピリットでゴスペルを歌っているのがブルックリン・タバナクル・クワイヤでありシンガーズだと思います。Shogo


<書籍のご購入> http://www.nlljapan.com/shoseki.htm

<ロン@ゴスペルさんによるこの本のレビュー>
http://plaza.rakuten.co.jp/gospelgospel/diary/200601290002/

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この記事へのコメント

1. Posted by ロン@ゴスペル   November 03, 2006 09:24
5 まいどぉ〜♪
この本の副題は「主の御手にゆだねて」ですからね(^^)
英語では「TRUSTING GOD TO DO WHAT ONLY HE CAN DO」です。

思うのですが、「困った時の神頼み」とはなんと正しい神様とのお付き合いの仕方でしょうか!(^^)←かなり本気!
誰も人生楽にできていませんからねぇ・・。

この本を読んでいると、まずキャロルさんは実にいろいろと「困る」のですね。
自分の手に余ること甚だしい。
「困難」「困難」また「困難」の連続。
で、正しくすべての「困難」に対して「神頼み」に徹しきった。

そうこうするうちにキャロルさんにとっては、常に神様とともに生涯を歩むことが実に自然になった・・
そんな気がします。
2. Posted by しんかい   November 03, 2006 17:41
ロン@ゴスペル 様
いつも、色々なことを教えてくださり感謝しております。
なんだか、副題のほうが分かりやすいタイトルに思えてきました(笑)。
私たちは、普通「苦しい時の神頼み」を、どちらかというとネガティブな文脈でとらえるのですが、・・クリスチャンの方にとっては、それは「当たり前」なんですか?やっぱり(^^)?

ある意味、うらやましいお話です。
3. Posted by ロン@ゴスペル   November 03, 2006 18:24
5 本気で「苦しいときこそ神頼み」ですよ(^^)
普通は、神様に悪いんですけど、頼らないときってあるんですよね。
人間てど〜しても自我が捨てられないのね(^^;
私は「これでもクリスチャン?」なので愈々その傾向が大きいです(^^;
で、神様のモノ凄イところは、困ったときだけ頼っていっても「いつもは顔出さんくせに〜!!」なんて絶対に言わないで「あれあれ、ど〜したの?よしよし」と必ず受け容れてくれるんですよね。
トコトン太っ腹の天のパパなのであります(^^)
人間は自分の愛が有限だから、人を赦すにも愛するにもけち臭くなって条件付になりがちですが、
太っ腹な天のパパは無限大(量)の愛を持っているので、無条件で愛し赦す準備があるんですね。

いつだって頼ってきてほしい、天のパパの気持ちだと思います。
4. Posted by Kate   November 03, 2006 21:03
私は、昨年、大阪にブルックリン・タバナクル・シンガーズが来たときに、キャロルの指導で、ワークショップを受けました。
彼女達のゴスペルは、本当に心からの信仰に基づいたもので(アメリカでは、音楽のジャンルとしてのゴスペルではなく、信仰に基づいてるのはあたりまえで、日本人のゴスペルが、ノンクリスチャンの人達も多いと言うだけでしょうが)それはそれは、涙が溢れるような、愛のこもったWSであり、ステージでした。
私も早速この本を買って、また心打たれながら読みましたよ。
しんかいちゃんのお勧めを機に、もう一度CD聴きながら読んでみたいと思います。
5. Posted by おっちー   November 03, 2006 21:46
しんかいさん
本当に判り易い解説をいつもありがとうございます。
改めてこの本を読んでみたくなりました(^^)
早速読んでみますね!

6. Posted by しんかい   November 03, 2006 23:24
>ロン@ゴスペル様
失礼しました。「苦しいときの」ではなく、「苦しいときこそ」なのですね。クリスチャンのロンさんならではの、コメント内容ありがとうございます。

>「いつもは顔出さんくせに〜!!」って、
ホントにおっしゃいません???

>Kate様
ご無沙汰しております。
えっ!?Kateさん、WSも参加されていたのですか!それはそれは!素晴らし〜っ!
なんだか皆様、本当に、ブルックリン・タバナクルを聴くと、
He touched.神が琴線に触れた感じになるようですね。今度また、その時の模様を詳しく教えてくださいませ♪

>おっちー様
ブルックリン・タバナクルがこんなに好きになれたのは、おっちーさんが新たなCDを紹介してくださったお蔭です。ありがとうございます。
7. Posted by ロン@ゴスペル   November 03, 2006 23:34
5 >「いつもは顔出さんくせに〜!!」って、
ホントにおっしゃいません???

勘違いしてる人間がアレコレ・ツベコベ・クドクド・ブツブツ言うことはあります。
だけんども、絶対に天のパパは言いません!(^-^)b
天のパパが正義を振りかざしたら、人間なんてララララララ〜♪(^^;
神様のキツイ一言に厭味だって、それを聴いた日には、一溜まりもありませんもん(^^;

8. Posted by しんかい   November 04, 2006 15:16
>ロン@ゴスペル様
そうですか〜。いやいや、ロンさんは信仰心が篤い。
本日の名言
「天のパパさん太っ腹」
ということで、おぼえておきます。
9. Posted by marijun   November 23, 2006 05:44
おはつです。marijunと申します。よろしくおねがいします。
私もブルックリンのワークショップ参加しました。
ブルックリンの曲って歌詞がシンプルで、主に目を向けることが最優先ですね。
歌うことで信仰が励まされ、皆の徳が高まることがすばらしいです。
私の教会でも日本語訳にして賛美しています。

キャロルさんの本を読むと、主の助けによって生きている本当のクリスチャンのあゆみを学べます。

私も主と共に歩みたいと思うものです。
よかったら私のブログにもお寄りください。

10. Posted by しんかい   November 23, 2006 20:22
>marijun様
はじめまして。ようこそこちらまでいらっしゃってくださいました♪
marijunさんのブログも拝見いたしました。クリスマス仕様のとてもかわいいブログですね。

私はゴスペル音楽好きの、不信心ものなので、marijunさんのように「信仰がはげまされる」の境地には至らないのですが、ブルックリンの曲から、「生きるということに対して」とても励まされています。

こんな状態ですが、またよろしかったら、おいでくださいませ。お待ちしております。

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