ゴスペル数珠つなぎWOW GOSPEL 2007 の映像探検隊

February 22, 2007

大地のゴスペル Soweto Gospel Choir(ソウェト・ゴスペル・クワイヤ)

Gospel Soup(43) 

大地のゴスペル Soweto Gospel Choir(ソウェト・ゴスペル・クワイヤ)

 いや全くこの1週間は、本当に「心がざわざわ」してました。

 悪い意味での「ざわざわ」ではありませんよ。Soweto Gospel Choir(ソウェト・ゴスペル・クワイヤ)のハーモニーが、寝てもさめても勝手に体の中で鳴り響いていたからです。電車の中でも、音が流れてましたからね。なんだ私、これだったらポケットのiPodもヘッドフォンもいらないわと、思ってしまいました。soweto gospel choir
 
 「なんかすごいの聴いちゃったなあ」「どうしよう」「どうしようといってもなあ」「もう一回だけ聴こう」「やることいっぱいあるじゃない」「いや、あと一曲だけ聴くわ」
 って、これは↑私の頭の中での問答ですが、まるでこれじゃ「あと一杯だけ飲ませてくれ」というアル中の発言に近いですね。

 
 彼らのアルバムには、なんだか麻薬でもはいってるんじゃないんですか(笑)。とにかくねえ、なんだか、またすぐに聴きたくなるんですよ。しかも、聴きながら何かをするということができないので、もうべったりスピーカーの前で、耳をそばだてている状態。

 昔(いつですねん?)、レコード店の前に、ビクター社の蓄音機に耳を傾けている犬の置物が、よく置いてあったでしょう。
 まさに、あのビクターの犬みたいな1週間でした。

 ソウェト・ゴスペル・クワイヤ前回のブログの「ゴスペル数珠つなぎ」の最後に書いたんですが、Shogoさんに教えていただいた南アフリカ共和国のクワイヤ。メンバーは多少の増減はあるようですが、30人前後の混声チーム。

 彼らのアルバムBlessedが、2週間前のグラミー賞ベスト・トラディショナルワールド・ミュージック・アルバムを受賞。
 
 私はアルバムを視聴して、もう一瞬にしてファンになり、一部の曲をiTunesでバラ買いダウンロードしただけで、興奮して前回のブログを書いたんです(笑)。が、そのあとカナダのhanaさんから、Sowetoのコンサートに行くことになったという書き込みをいただいたり、GUMBOさんから「これ、ヤバイです。しびれる・・・早速DVD、注文しちゃいました」というコメントをいただいたり。
 
 あらま、GUMBOさん「ヤバイです。しびれる」って、ほら、やっぱり麻薬はいってるでしょ(笑)。
 
 お陰様で彼らのアルバム3枚、
Voices From Heaven(2005)、Blessed(2006)、African Spirit(2007)
全部聴かせていただきました!

Voices from Heaven

Blessed

African Spirit

 どのアルバムのどの曲も、ヘンな言い方ですが「ハズレなし」。

 だからどの曲がいいとか、どのアルバムがいいとかは、もう「好み」ですね。どれもそれそれ好きな曲があって、甲乙つけがたいのですが、一番アフリカっぽい(現地の言葉のトラディショナル・アフリカンが多い)のが、最初のアルバムVoices From Heavenかな。BlessedやAfrican Spiritのアルバムほうが、英語による歌がたくさん入っているので、普通のアメリカのゴスペルを聴きなれた人には、この2枚が聴きやすいかもしれません。Blessedには、Oh! Happy Day!も入ってますよ。
 
 聴けば一瞬にして、アフリカの大地も、風も草原も、映像までがもみえるような錯覚を覚えます。

 アフリカンドラムが、効果的にアフリカの香りを演出しているけど、でも決して土臭いだけでなく、限りなく洗練されていて美しい。教会の中の、つまり室内のゴスペルじゃなくて、大地のゴスペル
 
 いわゆるアメリカのゴスペル(というか讃美歌一般も)だったら、人間と神の二者の関係であり、神に対する一方的な讃美でしょう?あるいは古い黒人霊歌(スピリチュアル)であれば、自分の境遇を神に嘆き、救済を求めるタイプのものが多いですよね。

 でもソウェトのアフリカンゴスペルは、単に神と個人との関係だけを歌っているのではなく、もっと懐が深くて、自らがアフリカの自然と交感しつつ、そしてあらゆる森羅万象の中にも雨の一しずくにも、神の存在を見て歌い上げるような、そんな広がりのあるゴスペルのような気がします。
 
 彼らは、ワールドツアーを行って、各地で拍手喝采を浴びているようですが、日本人って、古来から森の大木にも神聖さを見いだしてきたし、一粒の米粒の中にも神が宿ると感じてきたでしょう。だから日本人は、もしかしたら彼らのゴスペルを一番、感覚的に理解できる民族じゃないかなあと思ったりしました。(神が違うんじゃ!と、クリスチャンの方には、叱られそうですが)。
 
 とにかく、力強さと美しさを兼ね備えた厚みのあるハーモニー。アメリカのゴスペルクワイヤとは、一味違うサウンド。湧き上がる男性と女性の声のバランスが絶妙。でもとても不思議。

 たとえばデッキのスピーカーって、自分の前にあったとするでしょ。なのに男性のバスの声は下からくるの。どうして?スピーカーがあるのは、目の「前」なのに。でもバスの声は下からくる。それが女声とまじりあって下から上に広がって、またハーモニーになって降ってきて包まれる。
 
 アメリカのコンテンポラリー・ゴスペルの、一種の騒がしさやハチャメチャ感もない。誇り高きアフリカンゴスペル。まずいなあ。こんなの聴いてしまったら、人生変わってしまいそう。今どきのアメリカのゴスペル(の一部)が、コカコーラのコマーシャルに聴こえてきてしまうじゃありませんか。
 
 African Spritというアルバムの中に、限りない力強さと共に、言い知れぬ静謐さをも湛えている曲があります。
 
 ♪Hosanna
 
 これを聴いた時は、おもわず目頭が熱くなり、うたれたように動けなくなり、手を組み、自ずと頭を垂れました。

 理屈なし。

 素晴らしい音楽は、人を謙虚にもさせるし、祈りもさせるということを思い知った1曲でした。
 まだお聴きになったことのない方は、是非AmazonやiTunesなどでご視聴ください。
(↑今日は、ワタクシえらく、神妙だな〜。熱でもあるんじゃないかしらん。春めいてきたしな〜。)

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Soweto Gospel Choir オフィシャルHP
  http://www.sowetogospelchoir.com/

 ・2002年結成。
 ・2003年:アメリカGMAの、ベストゴスペルクワイヤに選ばれる。
 ・2005年2月 アルバムVoices From Heavenが、米国ビルボードのワールドミュー
  ジックチャート1位獲得。
 ・様々な著名アーティストと競演。ダイアナ・ロス、デボラ・コックス、ダニーK
  など。
 ・チャリティー基金で、今までに米$210,000(約2500万円)以上の募金を集め、
  エイズ孤児などの救済に使われている。
 ・2004年、一部のメンバーが名古屋に来日。コンサートをしていたらしい。
        http://plaza.rakuten.co.jp/hoafrica/diary/200410080000/
        http://plaza.rakuten.co.jp/hoafrica/
 

<追記>
 2008年3月 ソウェト・ゴスペル・クワイヤ 日本版オフィシャルファンサイト オープンしました。是非ご覧ください。
 http://www.sowetogospelchoir-fanclub.jp/

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この記事へのコメント

1. Posted by hana   February 22, 2007 23:23
しんかいさん、さすがの文章!!

読んでいてもアフリカの風景が浮かんでくるような感じがしました。

私もちょうど自分の中だけでの数珠つながりがあって、このゴスペルライブとアフリカンドラムがそうなんですが、今わくわくしてます。

自分が持ってるCDにアフリカっぽいサウンドを探したりもしてます。

確かに日本の自然と共存していく中でそこに神を見出すのはアフリカは似ているかもしれないですね。

2. Posted by りえ   February 23, 2007 01:28
4 縁あって(その縁を作ってくれたのはしんかいさんなのですが・・・)聴かせてもらいました。私は最初っからガツンと来たわけではなく「うんうん、いい感じ、この中ではHosannaがすきかな」ぐらいだったのですが、気付くと再生を押している・・・終わったらまた聴きたくなる・・・という不思議な麻薬現象に取り付かれています。「大地のゴスペル」かあ・・・そうですね・・・まさに土のにおいがする、原点を感じる・・・そんな感覚ですよね。三日後にライブを控えてて練習せねば・・・と思いつつ、麻薬には勝てない私でありました・・・(~_~;)。個人的にはミーハーなのでコカコーラのCMもおしゃれで好きだけど(笑)。
3. Posted by GUMBO   February 23, 2007 03:00
すっかりはまってますね。しんかいさん。
ボクもたった今まで着いたばかりのDVD見てました〜!

"Take me back to the motherland〜"なぁんて
歌う人たちのルーツは正にここにあるんだな、って
うなってしまった私です。

無性にジャンベが叩きたくなってます(笑
大地を揺るがすようなベースパートの低音が
たまらないですね。

オーストラリアのお客さんはこれをじーっと座って
聞いてるんだから信じられない!

生が聞きたいですねー、これは。

しんかいさん、ありがとうございました!感謝します!
4. Posted by しんかい   February 23, 2007 04:05
☆hana様

>私もちょうど自分の中だけでの数珠つながりがあって、このゴスペルライブとアフリカンドラムがそうなんですが、今わくわくしてます。

いやあ!ホントに楽しい数珠つなぎですね。ソウェトの生ライブ+アフリカンドラム。ライブに行かれるなんて、んもう!とってもうらやましいです。楽しんできてくださいましね〜。続報をお待ちしております〜♪
5. Posted by しんかい   February 23, 2007 04:14
☆りえ様

>私は最初っからガツンと来たわけではなく「うんうん、いい
>感じ、この中ではHosannaがすきかな」ぐらいだったのです
>が、気付くと再生を押している・・・終わったらまた聴きた
>くなる・・・という不思議な麻薬現象に取り付かれています。

りえ様も、あの曲の中ではHosannaがいいとおっしゃってくれたので、おおー!一緒やんと勝手にうれしくなってしまいました。なんか耳に残るよねえ?

>三日後にライブを控えてて練習せねば・・・と思いつつ、麻
>薬には勝てない私でありました・・・(~_~;)。

ほんまほんま、麻薬やってる場合ではありませんですね。ライブ頑張ってください〜。今回も行けずで、とっても残念です&申し訳ありません。皆様によろしくです。
6. Posted by しんかい   February 23, 2007 04:30
☆GUMBO様

>ボクもたった今まで着いたばかりのDVD見てました〜!

早〜っ!もう届いたんですか。DVDのこと、教えてくださってありがとうございます。私はまだDVDは見てなくて。今月は出費が多すぎたので、またそのうち(汗)。

>無性にジャンベが叩きたくなってます(笑

ああ!あのアフリカの太鼓の名前は、ジャンベというのですね。ありがとうございます。「なんて言うんやったかいな〜?」と思いながら、調べずアフリカンドラムと書いてごまかした私(わはは)。ほんと、太鼓も男声の低音も、いい感じに響いてますよね。

>オーストラリアのお客さんはこれをじーっと座って
>聞いてるんだから信じられない!

なるほどDVDは、CDとはまた違ってライブなんですね。オーストラリアのお客さん静か?とは意外。うーん。オーストラリアの現地のアボリジニの人々を観客に招待しとけば、もっと盛り上がったかも〜(苦笑)

7. Posted by machizou   February 23, 2007 10:13
以前、ライオンキングのone by oneを練習してる時、野生の大地を連想してと先生に言われた。
昔、テレビで「野生の王国」ってあったでしょ?
民族衣装を身にまとい槍もってるアフリカの人、大きな太陽が蜃気楼の向こうに沈んでゆく風景なんかが私の中のイメージでした。
昨日りえさんと一緒に聞かせてもらいました。
イメージに近い、でも深い・・・何て言えばいいかな?
久々に魂が揺さぶられるって感じで全部聞きたくなりました。
思い切ってDVD注文しました!・・が到着まで時間がかかりそうです。
到着したら一緒に上映会しましょう!!
今からめっちゃ楽しみです!
8. Posted by しんかい   February 23, 2007 13:29
☆machizou様

>昔、テレビで「野生の王国」ってあったでしょ?

「野生の王国」なつかし〜!!私も昔、大好きで見てました。そうそう!ほんまにあんな感じやね。私たちの世代?って、あれがアフリカのイメージを作ってるね〜(笑)。うちの娘はSowetoの音楽も、One by oneのつづきのライオンキングの歌やと思ってたみたいで、「最近ライオンキングばっかり聴いてるねえ。」と言うてたところ。

>久々に魂が揺さぶられるって感じで全部聞きたくなりました。
>思い切ってDVD注文しました!・・が到着まで時間がかかりそ>うです。到着したら一緒に上映会しましょう!!

きゃ〜っ!!やった〜!machizouさん、DVD購入なさったのね〜!!!ブラボー!聴きたい見たい!ありがとう。上映会よろしくです。わくわくっ!!
9. Posted by Shogo   February 23, 2007 16:48
もちろんソウェト・ゴスペル・クワイヤ自体がめちゃめちゃうまいのですが、おそらくこれは録音技術もすごいんだと思います。このクワイヤに惚れたプロデューサーが、今までとは違う録音方法をいろいろ試みたのではないだろうかと勝手に想像しています。クワイヤメンバー一人ひとりの声がくっきりとと入っていて、しかもみなの声が合ったときのエコーというか、声が重なり合ったときに相乗的に生まれる生命力の響きのような音まで、しっかりマイクが捕えているような気がします。

ぜひ、このクワイヤは、サントリーホールやシンフォニーホールのような音響のいいホールで、アンプラグドライブを行って欲しいです。
10. Posted by しんかい   February 23, 2007 18:55
☆Shogo様

お陰様で、日本(の一部)でも、ソウェトの話題が(ちょっとだけ)沸騰しました。ありがとうございました。

>おそらくこれは録音技術もすごいんだと思います。

なるほど、そういうこともあるかもですね〜。私はメカも音響も全然詳しくなくて、申し訳ないのですが、我が家でもふつーのCDラジカセで聴くのと、パソコンで聴くのと、このクワイヤのCDほど、違うCDはありませんでした。ということは、生で聴いたらもう、本当に素晴らしいでしょうね。

今週は、インフルエンザならず、ソウェト熱でした。週末にリハビリして社会復帰します。
11. Posted by 檸檬   February 26, 2007 11:46
Soweto Gospel Choir、香港にも来月来るんです!勿論チケットは既にGET済。2日間の公演+1日追加公演だったのですが、チケットはあっという間に完売。ベスト・トラディショナルワールド・ミュージック・アルバムを受賞したばかりの彼ら、正にBest Timingのライブです♪

1月にチケットを購入してから、今か今かと待ち遠しく楽しみにしています。3月末だから後1ヶ月!「Blessed」のアルバムは未だ持っていないので、早速ダウンロードして勉強しないと♪
12. Posted by しんかい   February 26, 2007 13:50
☆檸檬様
お久しぶりですこんにちは。

>Soweto Gospel Choir、香港にも来月来るんです!勿論チケットは既にGET済。2日間の公演+1日追加公演だったのですが、チケットはあっという間に完売。

ぬわんと!!香港にも来るのですか!しかも檸檬さんチケットGET済とは、素晴らしい〜!!いやあ、Soweto Gospel Choirって、私なんか2週間前まで、全く知らなかったんですが、もう世界ではすごく有名だったんですね。失礼いたしました。
檸檬さん、コンサート楽しんできてくださいましね。いいなあ(よだれ)。日本にもSoweto Gospel Choirカモーン!!
13. Posted by GUMBO   February 27, 2007 08:04
録音技術ですか・・・なるほどそれは確かにある
かも知れないですね。

何度かDVDを見てて感じたのは、ステージが
ショーとしてかなり細かな部分まで計算されている
な、いうこと。

構成や進行、MC、ダンスに至るまで即興の要素は
少なく非常にシンプルでわかりやすく、初めて見る
人にも受け入れやすい。
プリミティブなようで見せ物としては実は非常に
洗練されているという辺りが白人の人たちに受けた
理由のような気がしました。

だんだんメンバーの個性が見えてきて、好きな人
を選んで見たりしてる状態ですよ〜。
14. Posted by しんかい   February 27, 2007 09:50
☆GUMBO様

わあ〜。GUMBOさん、すごいですねえ。もうソウェトのDVDを、見尽くして体得の域にはいってる感じでしょうか。

>何度かDVDを見てて感じたのは、ステージが
>ショーとしてかなり細かな部分まで計算されている
>な、いうこと。

なるほどそうなんですか〜(←まだDVDみてない)。音楽性だけでなく、舞台芸術全体として完成されてるんですね。しかしこのクワイヤって、2002年結成って、まだ日が浅いでしょう?メンバー個人の力量もさることながら、ディレクタも、プロデューサーも、よっぽどすごいんでしょうね。

>だんだんメンバーの個性が見えてきて、好きな人
>を選んで見たりしてる状態ですよ〜。

ほっほ〜。好きな人に勝手に名前とかつけてたりして!!?

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