イズラエル・ホートン(Israel Houghton)来日マーティン・ルーサー・キング 亡くなる前の演説レコード

January 05, 2008

作詞家:阿久悠とゴスペルの歌詞

Gospel Soup(58) 作詞家:阿久悠とゴスペルの歌詞

 皆さま明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします
 
 大晦日の紅白の、トリを含めた4人の歌は、昨年亡くなった作詞家:阿久悠さんの曲で締めくくられていた。阿久悠さんがちょうど亡くなるわずか数日前に放映された、NHKの深夜番組「通」を、私は偶然見ていて、昭和の歌謡史特集に出演した阿久悠さんが、自分の歌詞を含めて、昭和の歌謡曲の詞のことを「映画的」、近年のJ-POPの歌詞のことを「ブログ的」だと言ったのが、とても心に残っていた。
 
 そうまさに「映画的」。彼は生涯に5000もの歌詞を作ったというし、代表作も枚挙にいとまがないが、どの詞も本当に詞に映像が見えて、物語があった。

 「ジョニーへの伝言」(ペドロ&カプリシャス)、「どうにもとまらない」(山本リンダ)、「せんせい」(森昌子)、「わたしの青い鳥」(桜田淳子)、「恋のダイヤル6700」(フィンガー5)、「宇宙戦艦ヤマト」(ささきいさお)、「ロマンス」(岩崎宏美)、「勝手にしやがれ」(沢田研二)、「夏にご用心」(桜田淳子)、「ペッパー警部」(ピンクレディー)、「津軽海峡・冬景色」(石川さゆり)、「SOS」・「渚のシンドバット」・「ウオンテッド」・「UFO」・「サウスポー」(全部ピンクレディー)、「狼なんか怖くない」(石野真子)、「北の宿から」(都はるみ)、「林檎殺人事件」(郷ひろみ・樹木希林)、「シンデレラ・ハネムーン」(岩崎宏美)、「熱き心に」(小林旭)・・・・

 う〜ん、すごいな。昭和のヒット曲総まくり。

 わずか数分の歌の中に、まるでスクリーンに映像を映すようにストーリーを凝縮させる見事な職人芸、名人芸、まさにプロ!!!。耳に残るキャッチコピーのような曲名やフレーズ。どうやったらこういうのが思いつくんだ?という意外性。時には演歌の情念メラメラの男女の恋愛(ちょっとこれは苦手だけど)。

 つくづくプロフェッショナルというのは何でも書くのだ、何でも詞にするのだ。どうだ見たか!と言わんばかりの力技の数々。古き良き時代の紅白歌合戦に、阿久悠さんの歌詞はとてもよく似合う。
 
 さて、そこでゴスペルの歌詞。ゴスペルの歌詞(特に、ワーシップ系)は、本当にシンプルで、ストレート。天に投げ上げた直球。
 Lord・God・Jesus・glory・Hallelujah・praise・love・ heaven・worthy・joy・faith・bless・mercy・believe・savior・glad・などなど、こういう単語がシャッフルされて散りばめられている。日本語に訳したら、あまりにストレートすぎて気恥ずかしくなる時もあるが、シンプルだからこそ伝わるよさがある。
 
 ではストーリー性・ビジュアル性のあるゴスペルの歌詞は・・というと、これはもう圧倒的に旧約聖書の物語を題材にしたゴスペル曲に見られる。もともと旧約聖書の世界は、本当にストーリーそのものが劇画的。古い黒人霊歌(スピリチュアル)の多くは、迫害されたイスラエル人の出エジプト記に黒人達が思いを重ねて、歌詞にしているものも多いから、♪Deep River〜みたいに歌詞にJordan(ヨルダン川)が出てくるだけで、あの地域の荒野の風景がぱーっとスクリーンに現れる。

 コンテンポラリー・ゴスペルでも旧約聖書の詩篇がそのまま歌詞になっているものはあるし♪Toal Praiseや、♪In the Sanctuaryも映像がみえる。ドナルド・ローレンスは、本当にストーリーものが得意。♪Blessing of Abrahamは、アブラハムの話から始まって、♪Giantも少年ダビデが、巨人(Giant)ゴリアテを倒す話がモチーフになっている。

 どういうタイプの歌詞が好みかは、人それぞれだが、歌謡曲だろうがゴスペルだろうが、人は現実の生活を生きながら、一瞬、歌に描かれたストーリーや歌詞の世界に自分の身を置くことができる

 毎年紅白に出てくる鳥羽一郎の♪兄弟船が好きな人は、ネクタイを締めたサラリーマンでも、漁師の男のロマンに身を置くことができるし、喜びに満ちたゴスペルの中に身を置けば、主婦のワタシも喜びに満ちる。なんだか最初は単純に楽し〜♪と一過性のカンフル剤みたいに思っていたゴスペルも、その中に身を置く回数を重ねていくと、歌詞やメロディーが自分の血肉となって、じわじわ効いてくる。本当に歌は神様がくれた魔法の装置だ。

 紅白を見ながらも、うん!ヨロコビに満ちるためにも、自分のネジを巻くためにも、今年もたくさんゴスペルを聴こう歌おう!と、心に決めた2008年の幕開けだった。
 
 今年も、どうぞよろしくお願いいたします
 


graceshinkai at 04:07│Comments(14)TrackBack(0)ゴスペル雑記帳 

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この記事へのコメント

1. Posted by べちゃん   January 05, 2008 09:28
阿久さんてすごかったんですね。わたしは死後に読んだ著書でやっとその偉大さをわかったクチです。ゴスペルって英語がわからないと本当にひだまで分け入って味わえないというのがありますでしょ?その点、しんかいさんは英語もできるからいいですよね。語学の才能ある人はうらやましいわ。
わたしは正直、がんばってますけど、英語に才能がないので、英語の映画や歌がそれほどにはしみ入らない。ユーミンの歌が一番映画的で好きなんですよ。
というわけで、今年も英語をがんばろうと思うわたしです。
2. Posted by ロン@ゴスペル   January 05, 2008 09:49
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。

ブラック・ゴスペルのテーマの変化についてこんな意見もあるようですね。
1.スピリチュアルは旧約聖書を題材にしたものが
  多い。
2.時代が下ってゴスペルになるにつれ、テーマは
  「ジーザス滅茶苦茶大好き」が前面に出てくる。

もしかしたら、彼らを取り巻く社会制度が「奴隷制」であった時代には「旧約聖書の出エジプト記」に励ましを得ていたのではないでしょうか。
そして、社会的には奴隷制が廃止された後は、解放された責任を全うするためにイエス様に頼り切って行ったのかもしれないと思っています。


未検証なのですけどね。。。新年早々の戯言でした(^^;
3. Posted by りえ   January 05, 2008 09:56
お、新年そうそうしんかい節だ
今年も楽しみにしてまーす。

紅白、観た観た。ラストまで観た。
私はいつもしんかいさんの訳詩の中に身をおいて堪能してます・・・

今年もよろしくお願いします。
4. Posted by shinkai   January 05, 2008 10:38
☆べちゃん様
あらためて、新春からコメントをありがとうございます。私も死後、阿久悠さんの作詞曲リストを眺めて、あらためて「すごーっ!」と思ったクチです。

読書家のべちゃんさん、阿久悠さんの著作、早くも読まれたんですね〜。私はまだ読んででいなくて、読みたいと思っています。

それで、そうそう!ユーミンの歌詞もストーリーがあって、本当に映画的ですよね。私もワカイ頃は、あの世界に浸れたんですが、最近恋愛ものの歌詞にグッとこないということは、・・枯れてきたのかも。ん?ということは、逆に年輩の方でも、あの情念メラメラ系に感情移入できる人っていうのは、すごいというか何というか。

話がそれましたが、今年もよろしくお願いいたします。
5. Posted by shinkai   January 05, 2008 10:49
☆ロン@ゴスペル様
明けましておめでとうございます。ご無沙汰しておりますが、今年もよろしくお願いいたします。

ゴスペルの歌詞の題材の、経年変化についてのお話、本当におっしゃる通りだと思います。古いスピリチュアルは、旧約聖書を題材にしたものが断然多いですし、今どきゴスペルは、ジーザス・ラブですし。

で、そんな「どれも似たような歌詞」になりがちな今どきゴスペルの中で、ちょっと変わったところに題材を求めるとなると、やっぱりまた旧約聖書に戻ったりするんでしょうね

今年もまた、色々教えてください。よろしくお願いいたします。

6. Posted by shinkai   January 05, 2008 11:06
☆りえ様
明けましておめでとう〜!!!
紅白、お嬢ちゃまたちと一緒に見たの?

我が家は、ヒット曲にあんまり興味がないと思われていた息子が、一緒に歌える歌があって、びっくりしました。何でこの曲、知ってるの?と聞いたら、小学校の掃除の時間に放送室から流れているらしいの。ぜんぜん知らなかったよ〜。コブクロとかの中で掃除してるとか。

今年も、ほんまによろしくです。
7. Posted by machizou   January 05, 2008 12:01
歌は神様がくれた魔法の装置だ。
新年早々名言ですな。
私は紅白見れなかったんやけど、曲名を拝見してたらどれも歌える。
今度、新年会でもしてカラオケで歌いまくりましょ♪
今年も共に歌い、学ばせてもらいます。よろしくね!!

8. Posted by ドンヘンリ−王子   January 05, 2008 12:22
あけましておめでとうございます
記事覗いたり、コメント入れさせてもらいます
よろしくお願いします♪

歌謡曲の詞のことを「映画的」
J-POPの歌詞のことを「ブログ的」
これはなるほど、時代を創った阿久悠さんの
観察力と経験から出てきた一言でしょうね
映像が浮かぶ詞は...描写から心理状態を汲み取る素晴らしい訴求でもあるし、なかなかこのような詞は書けないですね...わたしも阿久の詞は好きだし、ユ−ミンの詞も好きだし、浜田省吾の詞もいい...(ブル−ススプリングスティ−ンのマインドですが)...

わたしも少しGOSPELやってますが
ストレ−トにジ−ザスなんて言うとなんか
まだ恥ずかしい自分がいます(笑)
9. Posted by shinkai   January 06, 2008 09:51
☆machizou様
あらためまして、今年もよろしくです♪

>今度、新年会でもしてカラオケで歌いまくりましょ♪

そうか、今期に入ってからカラオケの企画がなかったもんね〜♪いいねいいね。やりましょう。やりましょう!とはいうものの、カラオケ不慣れで、どこでやったらいいのかすらわかってない私。企画よろしくですよ〜
10. Posted by shinkai   January 06, 2008 09:58
☆ドンヘンリ−王子様
明けましておめでとうございます。時折、王子様の日記を読ませていただきながら、コメントも残さず大変、ご無礼したままで、すみません。長文コメントありがとうございました。王子様は浜省もお好きなんですね。

>ストレ−トにジ−ザスなんて言うとなんか
まだ恥ずかしい自分がいます(笑)

私も以前は照れテレしておりましたが、最近は自分なりに消化?して、「自分なりには」ジ−ザス!と心を込めて歌えるようになりましたでございます。

今年もいい年になりますように。どうぞよろしくお願いいたします。
11. Posted by ルミコ   January 09, 2008 16:03
あけましておめでとうございます。

>なんだか最初は単純に楽し〜♪と一過性のカンフル剤みたいに思っていたゴスペルも、その中に身を置く回数を重ねていくと、歌詞やメロディーが自分の血肉となって、じわじわ効いてくる。本当に歌は神様がくれた魔法の装置だ。

やっぱりそうですか!
去年後半くらいからグレースさんの発信される言葉に少し変化を感じてましたよ。嬉しく感じます。
これこそがゴスペルの真意です。
今年もゴスペル歌いまくってください! ハレルヤ!
12. Posted by shinkai   January 09, 2008 23:24
☆ルミコ様
明けましておめでとうございます。

>去年後半くらいからグレースさんの発信される言葉に少し変化を感じてましたよ。嬉しく感じます。
これこそがゴスペルの真意です。

はは〜。ルミコさんにそう言っていただけると、素直に嬉しく、またルミコさんの洞察力に感服でございます。はい、まさに去年から、私にはそういう心境の変化があったのでした。ピンポンピンポンです。

またゆっくりお便りします。今年もどうぞよろしくお願いいたしますね。
13. Posted by みさ   January 16, 2008 16:57
初めまして

歌詞の和訳を探していて
このブログにたどり着きました

大阪の音楽の専門学校に通っている者です
ゴスペルもやっています

今いろいろな曲の和訳を
探しています

ご協力いただけませんか
14. Posted by shinkai   January 17, 2008 08:52
みさ様
はじめまして。絵文字たくさんのコメントをありがとうございます

和訳の必要なのは、どんな英歌詞の訳でしょうか?英語の歌詞がすでに御手元にあり、ゴスペル関係の歌詞でしたら、お役に立てるかもと思いますが、、、。また別途ご連絡申し上げます。

今後とも、よろしくお願いいたします。

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