マヘリア・ジャクソン(Mahalia Jackson)の話

October 08, 2006

マヘリア・ジャクソン自伝を読んで

Gospel Soup (18) マヘリア・ジャクソン自伝を読んで

マヘリア・ジャクソン その2 『マヘリアジャクソン自伝』彩流社 (1994)

 実のところ、私が本当にマヘリア・ジャクソンを好きになったのは、この本を読んだあとなのである。
 
 なにしろ初めてマヘリアの歌を聞いたときは、感動ではなく驚きだった。その最初に聞いた曲というのが、彼女のSilent Night(きよしこの夜)で、CDデッキから流れてきたのは
サ〜イレンッ ナ〜イッ! ホ〜リ〜ナ〜イッ!
という、泣く子もだまる地鳴りのような、あの低く深いコントラアルトの声だったからだ。
 
 その時私は「これ、どこがサイレント(静かな)ナイト(夜)なの?サイレントというよりは、火事場のサイレンみたいじゃん。ぜんぜんクリスマスっぽくない」(←実は口が悪い)と思ったものだ。

 その後、私もゴスペルサークルにも入り、1940年代〜60年代のゴスペルのオムニバスCDを、ちょくちょく購入するようになったのだが、なにせマヘリアは「ゴスペルの女王」。1枚のCDの中には、必ず彼女の曲が数曲入っている。しかしなにせ音源は古いし、バックコーラスの声が好きになれなかったりで、そこそこに聞き流していた。
 
 しかし、やはり彼女の声は耳に残る。最初に彼女のSilent Nightを聞いた時の状況も、そしてその時に、自分が部屋のどこに立っていたかまで覚えているし、知らず知らずのうちに、彼女の声が私の頭の中で、勝手にスイッチがはいって、Down by the Riversideを奏でたりするのである。

 かつて人々が、彼女の歌に熱狂したことは知っていた。だけど、彼女の歌の何が、人々をそこまで熱狂させたのかが理解できず、だからずっと「何なんだ?この人は?」と思っていた。

 さて、『マヘリアジャクソン自伝』である。続きを読む

graceshinkai at 13:46|PermalinkComments(5)TrackBack(1)

October 01, 2006

ゴスペルの女王 マヘリア・ジャクソン

Gospel Soup (17) マヘリア・ジャクソン その1

 ゴスペルの女王『マヘリア・ジャクソン自伝』彩流社 を読んで、数日間かけて書いた原稿が、一瞬にしてコンピュータの不都合にして消えてしまい、失意のずんどこ、いや、どん底のシンカイでございます

 というわけで、本日はとりあえず、気を取り直して、彼女のビデオ映像情報のみ、先行ブログupいたします。mahalia Jackson 1

マヘリア・ジャクソン (Mahalia Jackson)  
1911年、ニューオーリンズに生まれる。
 響き渡るコントラ・アルトの歌声。いにしえの故郷アフリカを思わせるようなビート感。黒い大岩を思わせる容貌。何にもゆるがぬ篤い信仰に裏打ちされたストレートなゴスペル。ゴスペルの女王と称される。
1950年、カーネギー・ホールでコンサート 
1960年、ケネディ大統領の就任前夜祭で歌う。
1963年、公民権運動さなか、ワシントン大行進の日、大群衆を前にキング牧師の"I have a dream"の演説の前にゴスペルを歌う。
1971年、来日し、天皇の前でもゴスペルを披露。
1972年シカゴにて没。

1958年のニュー・ポート・ジャズフェスティバルに彼女が出演した時のもようが、「真夏の夜のジャズ(Jazz on a summer's day)」という記録映画になっています。
その映像を含めて、歌っている彼女の姿が、以下のYou Tubeというネット上の動画配信サイトで見ることができます。(フル歌唱/無料/ダウンロードなしで見られます)
1b9de835.jpg

 私たちの世代からすれば、マヘリア・ジャクソンはもはや、歴史上の人物ですが、その歴史上の人物が歌う姿を見ることができる貴重な映像です。続きを読む

graceshinkai at 18:00|PermalinkComments(14)TrackBack(1)